第14回目「先制型プロジェクトマネジメント」(長尾清一著)
昨日に引き続き、プロジェクトマネジメントの(自分の中では)名著です。
プロジェクトマネジメントを含む仕事関係の本を100冊は今年中に読みたいと思います。
100冊読んだ後には、それらの中に含まれているエッセンスと自分の経験や、その他のヒアリング、インタビュー内容をまとめて行こうと考えています。
この本に興味を持てば→先制型プロジェクト・マネジメント―なぜ、あなたのプロジェクトは失敗するのか
好川氏のビジネス書の杜にも紹介されています。
幹は4つ。
1.企画
- プロジェクトマネジメント(以下PJマネジメント)の誤解:
- PJマネジメントに正解はあるか(ダイナミズムに先手を打つことが重要。正解に依存しない。自主的に先制的な行動理念が必要))
- PJマネジメントの強化→PJの成功になるか(受注プロセスがいい加減だと効果半減)
- PJマネジメントのフレームワークの構築→生産性が向上するか(人の動機付けが必要)
- 詳細なプラン→PJは成功するか(プランの前提、変化・変動に対する弾力性の理解が必要。コントロールが必要。)
- PMBOKの勉強→有能はPMになれるか(PMBOKは基礎知識、WhatはあるがHow、Whyの詳細はない。知識はPJで適用されて生きたものになる。)
- PMP資格者増→組織のPJマネジメントスキルが向上するか(現場に要求されるのは実践力を持った問題解決者であり、PMマネジメント解説者ではない。)
- PJマネジメントの経験を積むこと→スキル向上するか(実践スキル習得のトレーニングが必要)
- 未知事実と既知事実を混同しない←→誤った仮定につながる
- 仮定と事実は別物
- 実行性の高いプラン=PJ環境の変化・変動に適応していく「動く」プラン
- プロジェクトの定義づけ=多量の情報を体系的に分析、整理していくこと。
- 情報収集:どこが「わかっているか」ではなく、どこが、どの程度「わかっていないか」を認識する
- 未知項目:何が未知かを知る、いつどのように既知にあるかを分析する、仮定(想定)を設定し検証する
- 深刻な問題:その問題の形成過程での初期段階で、それがどのような状況で重大な問題に転じるのかを認識できないことにある
2.プランニング
- すべての作業の洗い出し:WBS
- WBSの構築:必要な情報がどこから入手できるか。含める作業は管理目的に応じてきめる。共有化する。
- リソースがスケジュールを決める⇒リソース=PJの勝敗を決める重大な要素⇒リソースの質と絶対量の確保が必須
- 先手を打って組織に働きかけ、リソースプランに内包される無理・矛盾を潰していく
- 物言わぬPMのPJは失敗を招く←→PMが積極的にイニシアチブを取っているPJは成功へ
- リソース不足:上層部へ何が不足、どこが矛盾かを伝える=品質、スケジュールにいつ、どのような影響がでるかを伝える→リソース面で問題が発生した場合の責任の所在を明確にする
- PMは「無理は、無理である」と明言するプロ意識と現実の問題への対処の姿勢が問われる
- 係数見積り:係数法の計算メカニズムを理解する→精度に影響する
- ツケは力関係で弱い方にしわ寄せされる
- 見積り:計算根拠、前提を明確にする
- 不確定部分は反復的クラリフィケーション(明確化のための質疑応答)で潰していく
- スケジュール:シミュレーションによって不確実性低減のための問題解決をする→シミュレーションをかけるためのたたき台をつくるという意識
- プランの実行性:前提条件の現実性の検証、変化に対応して問題解決するプロセスの組込が必要
- スケジュールを支配するもの=リソース(人的リソース、物的リソース)
- 依存関係を設定し、マイルストーンと連結(リードとラグ、クリティカルパス、フロート)
- リスク管理:早い段階でPJ全体を俯瞰、前提、仮定の現実性のチェック、制約の確認、調査事項の検討、未知項目の客観化
- 現実性のない家庭、前提=すべてリスク
- 発生確率とインパクト(影響度)を考慮
- アクションプランの設定:いつ、だれが、どのような手を、どのような方法で
- リスク対応:回避、引き受け、緩和、転嫁
- リスク管理:リソースの裏付けが必要、定期的に再評価
- リファイニング(プランの洗練):スケジュールの短縮とリソースの調整
- スケジュールの短縮:ファーストトラッキング、クラッシング、リソースレベリング
- 契約によるリスク分散:請負契約、準委任契約、派遣契約
3.実施とコントロール
- 管理指標としてベースラインを設定
- ベースライン:許容幅を持たせる方がコントロールが効率的に
- 現況を検証する:インタビュー(質問)で相手を試す→真実性、妥当性、正確性を検証する
- PJのコントロールの最大のポイント=問題の早期発見と先制的アクション
- 既決・未決事項のアクション:ミーティングごとにアクションリストを使って執拗に追跡
- なぜ遅れたか、なぜ超過したか、なぜ基準に達していないのか、原因を分析することが大事
- PJのコントロール:継続的に問題解決を行っていくこと
- PJ失敗の原因:個人とチームが絡んでいる
- 個人、チーム、組織の動機付けが要求される
- メンバー個々の目標を話し合いで明確にする
- 誉めるタイミング:直後の法則、具体の法則
- チーム:チームとしてのゴールを明確にする、意見の対立を歓迎する(チーム健全性のバロメータ)
- 顧客満足度:成果物に対する顧客の期待と達成度に影響される、顧客の期待をコントロールすることが顧客満足度につながる
- 質問リストをあらかじめ用意して顧客の要件を引き出す
- 要件項目と成果物の構成要素の関連を明確にし、前提、制約、除外項目を明記する
- 交渉:PMにとって全工程を通じて要求される必要不可欠の技術、プロジェクトの成否の鍵、Win-Win関係
- 実線的な交渉を準備:情報収集、代替案、大局を理解、協働、合意事項・未決事項を整理
4.終結・組織改革
- 終結:スコープ内の全作業の完了確認
- PM標準化の導入
気付き
「なんとかなるだろう」といった希望的観測は、何の解決にも繋がらない(問題を大きくするだけ)。先手先手で手を打つ事が重要(先制的アクション)。
そのためには、情報収集、事実の把握、現況検証、これらを実施するための仕組みつくりが大事。
PJを始めるにあたって、受注・契約内容も成否の大きな要因。
リソースの質、量の確保も成否を分ける。
リソースの確保については、組織からの押し付けではなく、PMとして判断すべき点である。
顧客の期待に応えるには、顧客を上手くコントロールすることも必要。
他の仕事同様、前始末(周到な準備)が成否を分けると教えてくれます。
特にこの本では、先制型という言葉を使い、前始末(前準備)の重要性を著者の多くの成功経験から記載されており勉強になります。
ジルさん、今年もがんばりましょう。
今までは読むことが中心に考えていたのですが、フォトリーディングを受講して、読んだ内容を整理する、すなわちアウトプットの大切さ、面白さを学んだ気がしています。
1月3日から4日は旅行のため、日記は休みます?!