第124回目「エンタープライズプロジェクトマネジメント実践ガイド」(株式会社ユーフィット著)
<ポイント>
- EPMとは
- Microsoft Office Project2003の特徴は
- EPMの利点は
<対象となる人>
- PM
- PMOに所属する人
- 経営者
<Principle(面白いこと3点)>
- 全体最適の視点を持つ
- リソースの割り当ては全社的視点で考える
- プロジェクトの成否は計画段階で決まる
<So What?/True? (Answerは皆さんも考え下さい)>
- 経営のスピードが重要になればなるほど、全体最適の視点で判断することが必要となる。そのためEPM(エンタープライズプロジェクトマネジメント)の仕組みが必要となる。EPMのツールとしてMicrosoft Office Project2003があるが、これをどう使いこなせば当初の目的を達成することができるのだろうか。
本書は、Microsoft社の講習に行った時に頂いた本です。そのため、Microsoft Projectを推奨する内容となっていますが、実際にMicrosoft Projectはデフェクトスタンダードとなっており、知識としては知っておく必要があると思います。また、実際に使っているPMも多いと思います。(個人的には、PMSを使いこなせないとプロジェクト管理に要する時間がますます不足し、正確な把握が難しくなると考えています。)
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<抜粋>(かっこ内は私の意見)
(青(客観重要、まあ大事)、赤(客観最重要、すごく大事)、緑(主観大切、おもしろい))
0.プロジェクトマネジメントと企業のイノベーション
- 重要なこと:プロジェクトの実行の過程をどれだけ「標準化」できるかということ
- 標準化しうる部分を徹底的にシステム上で管理する⇒①効率化可能、②アナログな部分、個別の顧客対応が必要な部分に多くの経営資源が投入可能⇒トータルコストの削減、顧客満足度の最大化
- 独創的なアイデアを生み出す「イノベーション能力」を持つ
1.エンタープライズマネジメント(EPM)のすすめ
- すべての企業活動をプロジェクトとしてとらえ、すべてのプロジェクトを企業戦略の実行手段として遂行する=EPM(Enterprise Project Management)の考え方
- EPM:企業内に存在するあらゆる活動をプロジェクトマネジメントの対象としてとらえる⇒「全体最適」の視点
- リソースの配分:「全体最適」の視点で考える→企業全体にとって最も重要なプロジェクトにその人材を優先的に投入すべき
- 伝統的なプロジェクトマネジメント=「プロジェクトを効率的に進めるにはどうしたらよいか?」⇔EPM=「プロジェクトを業績につなげるにはどうしたらよいか?」
- PMS(統合情報システム):情報を一元化管理し、プロジェクトの稼動状況を可視化する
- PMO(プロジェクトマネジメントオフィス):全社のプロジェクトと統括・支援する組織
2.本格導入
- 個々のプロジェクトが見えない→プロジェクトマネジメントの手法すら担当するマネジャーによって異なってくる場合がある
- 標準化されたものを使う⇒大きなトラブル発生時にはその芽を摘むプロセスが用意されている
- PMSおよびそれを構成するツールを評価する基準:①「成果物中心」、②「プロセス中心」
- Microsoft Office Project2003(以下MSP2003):成果物中心、プロセス中心の両方の視点からデータを扱えるようになっている。ドキュメント管理も可能。
- プロジェクトの成否:計画策定段階が重要な鍵を握っている
- WBS:ノウハウをコンポーネント化して蓄積する
- キーパーソン:特定の部門やプロジェクトに専属という形にしない方がよい
3.MSP2003を使ったPMS
(1)立ち上げ
- Project Web Access:全社技術者の情報がすべて登録され、現状どんなプロジェクトを担当し、いつまで続くのかなどが把握できる
(2)計画と工数見積り
- プロジェクト計画フェーズ:最も重要なフェーズ⇒プロジェクトの成功はこのフェーズで60%以上決まる
- プロジェクトガイドを使って、コンポーネント化されているWBSを組み合わせ、モデルスケジュールを作成できるようにしている
- 見積り:アドオンツールを利用してトップダウン方式とボトムアップ方式を併用した全体の見積りを行なう
- リソースの平準化:要員の平準化をしながら期間の設定を行なう
(3)リソース計画
- コスト用テーブルが用意されている
(4)計画の完成
- Project Web Accessのリスクページに書き出すことで、リスクの発生確率や影響度などを考慮し、対応策を書き留めることが可能
- MSP2003からは、リスク項目をProject Web Accessのリストページに登録できるようになった
(5)プロジェクトの実施
- 自身の作業の確認およびチームメンバーの作業連絡をProject Web Accessの機能を使って可能となる
- MSP2003からは締め処理の考え方が取り入れられ、その機能を使って、会計システムのデータベースにデータを渡すことができる
- ドキュメントに関する報告:MSP2003に追加したアドオンツール(ドキュメントツール)によって行なう
- MSP2003とOutlook2003の連携:Outlook2003に報告機能が搭載される、日別カレンダーにその日実行予定のタスクが表示される
- 開発者ではないステークホルダーでも、Outlookさえ見ていれば関連する予定を確認できる
(6)コントロール
- Project Web Access:実績の承認のほかに、理由を付けて実績の否認をすることができる
- Project Web Access:アドオンツールを利用して品質管理ができる、メトリクスに不具合の内容を件名、摘出日付、摘出フェーズなどとともに登録する
4.実践手順
(1)WBS
- プロジェクトマネジメント:道具が必要⇒道具=WBS
- WBSをもとに計画を作ることで、「すべきこと」だけでなく、「わかっていないこと」が何かがわかってくる
- タスクを洗い出すときのポイント
- 1.完成に至るまでに実施する項目リストが含まれていること
- 2.途中にいくつかのチェックポイントを持って、その時点でのプロジェクトの方向性や進捗を見直す仕組みをつくること
- 1.必ずトップダウンから入る
- 2.作業の分割は、所要時間の長さや依存関係を無視して行なう
- 3.作業の分割レベルはまちまちでよい
- 4.詳細化したい作業は何か
- 5.詳細化のレベルは作業量が見積りできるまで
(2)リソースの割り当て
- チームビルディング:プロジェクトマネジャーが行なう重要な仕事の一つが「選択」。その中でも一番大きな選択が「人材」。
- コラボレーション:顧客満足度向上とコスト削減のためのコミュニケーションマネジメント
(3)リスク
- リスク:「好機と脅威」の両方
- リスクの入力:WBS作成時に行なう
- およそ2割と予想される重要なタスクをあらかじめ特定しておく←パレートの法則を参考
- ブルックスの法則:「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、さらにスケジュールを遅らせるだけだ」
- プロジェクトの作業がはじまったから要員を追加する必要が生じたならば、まずは同じプロジェクトの中から探す⇒人を追加するのではなく、人を代えるという策を検討してリスクを低減させる
- ギャンブラー:表表表と続けば次も表に賭ける→必ず強い目に賭けるのが鉄則⇔カモ:次はそろそろと思いつつ泥沼にはまる ⇒ 予測できそうと思えた瞬間が最も危ない
- どんなプロジェクトでも必ずリスクを洗い出し、その発生確率や影響度の分析、起きたときの対処法をあらかじめ策定しておくべき
(4)変更ルール
- 基準計画(ベースライン):建築で言えば最終図面にあたる⇒基準計画により、オリジナルの計画が何を予測していたかがわかるようになる
- 問題の把握を徹底するための3段階
- 1.記録する
- 2.記録したことを解釈する
- 3.複数の問題を結びつける
(5)コントロール
- プロジェクトマネジャーは、スケジュール遅れは絶対に悪であるなどという妄信的な考え方を捨てること。プロジェクトのスケジュールは遅延するもの、と覚悟する必要がある。
- 少々の失敗は隠したいもの。しかし、隠すと失敗が怖さにならない。
(6)終結
- 同じ仕事をより少ない人数でやるのではなく、同じ人数でより多くの仕事をやるのが真の「効率化」であり、プロジェクトマネジメントの目的である
5.EPMの社内展開
- EPMの企業展開:MSP2003を使いきることが、プロジェクトマネジメントの考え方の普及等に繋がる
- 企業展開:「3つのフェーズ」「7つのポイント」「11のステップ」がある
- 3つのフェーズ
- 導入フェーズ
- 展開フェーズ
- 高度利用フェーズ
6.EPMの成功へ
- 刻々と変化していくプロジェクトの状態をプロジェクトの外部から見ることができる仕組みになっていなければ、経営層はプロジェクトの状態を把握できない
- MSP2003のProject Web Access:プロジェクトの可視化を実現する機能
- Project Web Accessの利用により実現されるプロジェクトの状況報告のリアルタイム化は、スピード経営に直結する
- WBS
- テンプレートを用意する際は、できるだけ細かいテンプレートを作成すべき
- テンプレートには、必要なタスク、分析に必要なタスクが網羅されているべき
- ベースラインと呼ばれる基準計画がしっかりとできていること
- 計画と比較可能な方法で実績入力が実施されていること
- 達成率更新が正しく行なわれていること
<今日の「これ愉快」>(こ:根拠、れ:例、ゆ:ユニーク点、か:仮説、い:意見)
- こ(根拠):経営の判断を適切に行なうには、部分だけを見ていてはいけない。全体最適の視点を持つことが必要。
- れ(例):決められたリソースをどう使えば一番有効に活用できるか。それは全体最適で考え判断する必要がある。4番バッターばかり揃えても、全体最適の視点からみると1発狙いになり、偏った戦略しか立てられずに上手くいかなくなる。
- ゆ(ユニーク点):PMSを有効に使うことが、EPM成功の要因
- か(仮説):経営のスピードを図るには、ITを有効に活用する必要がある。ITを有効に活用するには、実情にあったツールを選択し、どう使っていくか、どう導入すればプラスになるかを事前に調査・分析しておくべきである。
- い(意見):PMSを上手く使うことで、組織としてのノウハウを蓄積できるとともに、標準化が進めばリスク軽減対策にもなる。また、組織としての能力があがり、CMMIにも繋がっていく。
<気付き>
新しい手法を採用するには、必ず反対する人がでる。分からないものに手を出したくない人たちもいる。有効性を確認し、トップダウンで進める必要がある。なお、Microsoft Office Project2003以外にもいろいろな選択肢があると思うが、個人的には価格的にも、他Office製品との親和性からみても最適なPMSの一つであると思っている。
<今日の一言>
「経営の判断は全体最適から。そのために、PMSを有効活用しよう。」
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