第120回目「論理力を鍛えるトレーニングブック」(渡辺パコ著)
<ポイント>
- 論理思考を身につけるために覚えておくツールとは
- 論理思考を身につけるために普段から実施すべきことは
- 論理思考を身につけるために注意すべき点は
<対象となる人>
- 論理思考を身に付けたい人
- 仕事上の問題解決法を論理的に実施したい人
- 議論に負けたくない人
<Principle(面白いこと3点)>
- 適切に考えられたロジックであれば否定されても、課題が見えてくる
- So What?で自問自答する習慣をつけておく
- イシュー、論点を正しく把握する
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自分では考えているつもりでも、人から見れば考えが浅い、方向が違っているという経験をしたことはありませんか。昔、初期の宇宙大作戦を見ていたとき、スポックのように論理的な考えができる人は凄いと思ったことがあります。自分は学生時代は数学屋さんで、いまはIT関係なので論理的に考える基礎はあると勘違いしているのですが、まだまだ不十分(これでいいかとなってしまうところがある←論理思考云々ではなく、性格か?)。
数学的帰納法を始めて見たとき、ある種の感動を受けたのを覚えています。数学って、やっぱり美しいと思いました。その時の気持ちを思い出しながら、読みました。そうそう、MECEも始めて知ったときは、すばらしい(よく論理思考ツールとして整理したな)と思いましたね。
また、この本には例題が数例記載されています。著者が言うように、自分でまず考えてみることが大切。読んでいるだけでなく、自分で考えないと論理思考は身に付かない。
<抜粋>(かっこ内は私の意見)
(青(客観重要、まあ大事)、赤(客観最重要、すごく大事)、緑(主観大切、おもしろい))
0.脳で汗をかく
- 日本人:子供のころから大人になるまで、論理的にものを考える「練習」を積んでこなかった
- 論理思考を鍛える練習:「前頭葉のエクササイズ」
- 論理思考ができれば→問題点(イシュー)を明確にすることができ、無意味な問題点にこだわる無駄がなくなる
1.論理思考ができると仕事が変わる
- 論理思考:リーダーシップの表裏一体のところにある
- 正論で人が動かない⇔正論の中に「人がなぜいやがるのか」「動かないのか」という気持ちを構成している「本当の理由」について目をむけていないから
- 多くの場合、考えるべきイシュー(issue=考える問題点)が定まっておらず、考えているのだが、今、考えるべきところに集中できていない
- 適切に思考すること:本来進まなければならない道を進むために必要不可欠な条件
- 適切なロジック=「妥当性のある複数の理由づけ」で支えられているロジック
- 妥当性のあるロジックを作る=イシューに分解し、そのイシューについて個別に妥当性を判断するという手法を身につけること
- 適切に考えられたロジック⇔もし否定されても、「なぜ否定されたか」という理由がきちんとわかるはずだ
- 論理的に思考して仕事を進める=ストレスをなくすことでもある
2.論理思考のツール
- 帰納法
- 実例を何件もあげ、その実例に共通する命題(意見)は正しいと結論づけること
- 帰納法では「蓋然性(がいぜんせい)」という概念が必要
- 蓋然性:「正しさの度合い」という概念で、「この推論は蓋然性が高い」などと使う
- 蓋然性の判断は難しい:一つの反証(結論に反する事実)によって崩壊してしまう⇔生物は必ず死ぬ→ある種のクラゲは老化するとポリプという幼生になり死なない⇒生物は必ず死ぬという蓋然性の高い命題も崩壊する <<ベニクラゲ:世界で唯一の有性生殖機能を持つ多細胞の不死生物とのことです。歳を取っては若返り、再び歳を取っては若返るとは不思議な生物ですね。いんちき心理学研究所さんを参照してみてください。>>
- 「納得感」によって支えられている
- 適切な論理を作る=永遠不変の論理をつくろうとするより、自分をこれから説得を試みる「相手」にとって、納得感があるロジックであればいい
- ロジック:発言者と受け手が想定されて、はじめて妥当性が判断できるという宿命にある
- 演繹法
- MECE(ミッシー、Mutually Exclusive ,Collectively Exhaustive)
- ロジックツリー
- 思考ツールの中で最も論理的に見えるツール
- まず先に問題を提起することから始まる
- 重要なポイント=最適な抽象度のメッセージをつくることで、具体的な事例の羅列に終わらせないようにつくっていくこと
- ピラミッドストラクチャ
- ロジックツリー:課題を先にはっきりと立て、そこから下位の概念にブレイクダウンしていく⇔ピラミッドストラクチャ:最底辺、つまり具体的な情報や観察事項から上位の概念に向けて、推論を進めていく
3.思考をドライブする手法
- ツールを使う手法に慣れておく
- So What?
- 日常的に論理思考を行うために、一番重要な思考の手法=“So What?”
- 「それって何?」と自問自答していくことで、目の前にある情報から意味を見出し、価値のある情報を引き出していく思考
- So What?の結果は、S+Vの形式で表現されることが条件になる
- So What?の結果をTrue?で判断するには、実は多くの場合、観察事項以外の情報が必要
- ①So What?の結果は、いくつも出てきうる
- ②複数のSo What?をTrue?で思考して妥当性を判断する
- ③その際、観察事項以外の知見や事実を援用することはありうるが、どのような知見や事実を使ったかを自覚することが重要
- ロジックツリーを作るための思考の手法がWhy?とHow?
- a.イシューをつかまえきれずに目移りしてねらった獲物を手放してちがう獲物に向かって奥に進んでしまう
- b.誤った前提、隠れた前提に気づかない
- c.事実の誤認、事実の過大/過小評価
- d.公平な判断ができない
4.トレーニング
- 「与えられた情報から確実に言えること」と、「与えられた情報だけからでは言えないこと」を区別する
- 単語の意味があいまいだと、センテンスの意味があいまい→ロジックもあいまい=意味が定まらないものになる⇔個々のブロックにある単語の意味を、常に吟味する習慣を身につけることが重要
- イシュー:「問題点」や「課題」とは違う、考えるべきポイントや考えるための視点や見方をさす言葉
- ピラミッドストラクチャーを再構築する方法:まず。文書のメインメッセージを発見する
- 他者の意見に対して反論する場合:
- ①相手のイシューに沿って反論する、②相手が一番力点を置いているキーラインを否定できるように、論点を探す
- 具体的には、出来上がったピラミッドストラクチャのキーラインを一つずつ点検することから始める
- 最後に注意するのは、自分が行おうとする反論が、単なる疑問の投げかけで終わらないように確認すること
- ①考える習慣をつける:いつも考えるという習慣をつけること
- ②説得されない・反論する:「説得されない」という意地やタフな意志を持つことも重要
- ③具体的に考える
- ④主張を否定し、人格を否定しない
- ⑤論理的であることはクリエイティブであること
<今日の「これ愉快」>(こ:根拠、れ:例、ゆ:ユニーク点、か:仮説、い:意見)
- こ(根拠):問題解決方法をチームで共有するには、チームメンバーがそれぞれ納得しなければならない。メンバーを納得させるためには、論理的な説明が不可欠となる。従って、論理思考を身につけておく必要がある。
- れ(例):ブログでも何回か記載したが、トヨタではなぜ?を5回自問するという。これは、ロジックツリーとSo What?、True? を実施していることと同義である。
- ゆ(ユニーク点):ツールを使えるように、その手法に慣れておく。知識として知っていても使えなければ役に立ちません。どれか一つでも使えるようになっておくと、それだけで論理的に考える訓練が自然とできるようになるのでしょう。使ってなんぼのものです。おおいに使ってみましょう。
- か(仮説):問題を解決するためには、正体をハッキリとつかむ必要がある。そこがあいまいだと、思考のミスを招く。
- い(意見):論理思考を身に付けるためには、思考方法にあったツールを使えるようにすることが重要。第103回「仕事のできる人の考える技術&書く技術」(4/29)にも記載している通り、できる人は自分なりの思考ツールを持っている。まずはいろいろ使って行って論理思考もより同時に身につけていきたい。
<気付き>
フォトリーディングを習ってから、マインドマップを知り読書の整理に使っていた(最近は、時間的なことであまりつかっていない。三色ボールペン方式の方を使っている)。マインドマップにすることで、情報の整理が図的に見ることができ、記憶にも残るし、役に立っている。ソフト開発でも、開発ツール、試験ツールを使えるかどうかで、生産性や品質が格段に違ってくる。読むだけでなく、行動して初めて結果が伴ってくるという(自分自身の)法則に従えば、まずは良いと思うことは実践。MECE、ロジックツリー、ピラミッドストラクチャあたりを使っていきます。それと並行して、考える習慣(So What? True?)もですね。そのためには、日々一つでも何かに対し疑問をもつことが大事ですね。ということで、次回から、「今日の疑問点」(それって何?)(仮称)を追加してみます。
<今日の一言>
「日々一つでも疑問点を持つことで考える習慣を作ろう。そして、論理思考のツールを使い倒し論理思考を身につけていこう。」
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