第119回目「個人・家族・企業を活かす危機管理術」(三野正洋著)
<ポイント>
- 危機管理を身に付けるには
- 危機管理とは何か
- ダリトで考える
<対象となる人>
- リスクをマネージメントしたい人
- 危機から自分・家族を守りたい人
- もしものときに慌てたくない人
<Principle(面白いこと3点)>
- リスクを段階的に評価する
- なにより正確な情報収集力
- 小さなトラブルにも注意
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リスク管理についてです。太平洋戦争のときにアメリカ軍を例にして説明されている個所があるのですが、それを読むとアメリカのリスクコンロトールは進んでいると感心します。私はリスクマネジメント協会の会員で、リスクマネジメントの資格を持っているのですが、リスク管理をもっと勉強する必要があることを感じました。
<抜粋>(かっこ内は私の意見)
(青(客観重要、まあ大事)、赤(客観最重要、すごく大事)、緑(主観大切、おもしろい))
1.危機管理センス
- 自己責任の原則:あなたが決断したことは他の誰の責任でもなく、どのような結果になろうとも自分自身で責任を取りなさいということ
- これからの日本:危機管理という当然のことをしていなかった者は取り残され、あらかじめ手を打っていた者だけが危機に直面してもそれを乗り越え、いままでの生活水準を維持できる
- 危機管理の第一歩:目の前の現象や出来事の中に危機の兆しを感じるセンスを身につけることから始まる
- 危機管理とは=危機の可能性をあらかじめ減少させ、万一、遭遇したおりの損害を極力減らすこと
- 情報が大事⇔いま何が起きているのか、これからどんなことが起きようとしているのか、それを把握できなくては危機管理のやりようがない
- 三矢研究:朝鮮半島で南北両国の全面軍事衝突が発生した際、我国がそれにどう対処すべきか、という防衛庁の課題研究
- 国家であれ、企業であれ、危機管理を忘れた組織は、大きな弱点を抱え込んでいる
- 世界のほとんどの国では、ROE(ルール・オブ・エンゲージメント)という交戦規則が定められている
2.アメリカ海軍の危機管理術
- 戦場:危機管理の何たるかが凝縮されている
- アメリカ海軍:日本海軍とは対照的に、たとえ戦闘で大きな損傷を受けても艦が簡単に沈まないための措置、また乗組員の生命を出来る限り救う方法などについてもさまざまな工夫がなされていた(太平洋戦争)⇒攻撃力だけでなく、防御力と生存性(抗堪性こうたんせい)を考慮
- 日本の空母:設計者は空母が火災を起こした場合のことなどまったく考慮しないまま、設計図面を引いていた
- 冗長性(リダンダンシー)あるいはフェイルセーフ:システムの一部が機能しなくなっても残りの部分でカバーする、機能ダウンがさらなる危険を呼ばないようにする考え方
- ダメージコントロール士官:アメリカ海軍は軍艦の生存性向上を任務とする専門の士官を乗り込ませていた
3.自己責任のダリト・メソッド
- ダリト
- ダ:ダメージ・コントロール
- リ:リスク・マネージメント
- ト:トラブル・シューティング
- ダメージを積極的に管理し、制御し、自分が望む方向に導くための一連の方法
- 被害の矮小化:実際に被害・損害を受けた際、それを少しでも小さくおさえるための対応
- あらかじめこれらの危険性について考えておこうというもの
- リスクをどう扱うか、その方法のこと
- 個人の資産運用においてもリスク・マネージメントはますます重要
- 大きな危機の存在:近未来に予想される大きな危機の事前予測と事後の対応
- 最初の一歩:口先、議論、意見を述べるのではなく、ともかく文字という形にしてみること⇔「言葉は宙に消え、文字は時間を超える」
- 故意とか問題発生という意味の「トラブル」と、射撃、発射、狙い撃ちの「シューティング」を組み合わせた言葉で、問題となる個所をズバリと突き止め、事前に対策を講じる手法
- 中・小の危機の存在:日常における小さなトラブルの予測と早期の解決
4.危機レベルで管理
- 危機には段階がある⇒レベルで管理する
- デフコン:ディフェンス・レディネス・コンディションズ(Defense Readiness Conditions):防衛準備体制、防衛即応体制←東西冷戦下にアメリカがまとめた戦争勃発の可能性に対する段階的な危機管理策
- デフコン:それぞれのレベルごとに5段階に分かれている
- デフコン1:危機が最大に高まった状態で、まさに戦争寸前の状態
- デフコン2:戦争に突入する可能性が極めて切迫している状況
- デフコン3:紛争地域に配備されているアメリカ軍が攻撃を受ける可能性が高まった時期に発動される
- デフコン4:小さな武力衝突が勃発する恐れがある時に発動
- デフコン5:もっとも緩い警戒態勢の状態
- 危機管理においては、それに備えるだけでなく、現に存在している小さな危険も、その後の条件が変化することによって、大きな危機に発展していく可能性があることに注意しなければならない
- ビューフォート風力階級:シーマン(船乗り)の危機管理
5.明暗を分かつ情報解析力
- 情報こそ何よりも大切なもの
- 情報なくして、危機管理は成立しない
- 旧ドイツ軍:分析手法が雑拙だったため、重要な多くの情報を見逃してしまっていた
- 企業においても、豊富な資金と技術力、さらに優秀な人材がそろっていても正確な情報がなければそれを活かすことはできない
- 情報を握る者、持たぬ者の格差はそのまま成功と失敗に直結する
6.危機管理の落とし穴
- 部下が必要な情報を上に伝えなかったために大きな悲劇を招いた例も少なくない
- どんなに機械や機構を整備しても、そこに人が関わる限り人間的要素は無視できない
- アメリカ海軍:組織として上級者に対して比較的自由に意見を具申できるようにマニュアルに定めている⇔運行に携わっているすべての者が、指揮者の命令に盲目的に従うのではなく、少しでも危険を感じたらそれを進言できるようなシステム
- フェイル・セーフ:ひとつ失敗しても大丈夫という理論、方式。必ず、代替案あるいはバックアップシステムが備わっている
- どのような情報についても、ほんの一握りの人だけはそれが公表される前に現実に何が起きているか知っている
- 本当の情報はしばしば最後の最後まで隠される
- 山一証券:問題を先送りするだけで何もしなかった旧経営陣の姿勢、そして最後の瞬間が訪れるまで自社が置かれている状況を知らされていなかった人々の顛末は、大企業における危機管理の最悪の例として今後も記憶されるべき
7.ダリト活用 あなた自身の危機管理術
- ダメージ・コントロール:万一精神的、金銭的、物質的損害を受けた時、どう対処するか、日頃から考えておく
- リスク・マネージメント:前述の可能性をあらかじめ予測し、それに対する備えをしておく
- トラブル・シューティング:たとえ小さな問題/トラブルであっても、早めにそれを見つけ出し解決しておく
- 危機を段階的に評価しておく:情報を出来る限り収集し、それを最大限活用する
- 自分と家族の生活を守ってくれるものは、最終的には自分しかいない
- あなた自身のための危機管理術の手順
- 1.現実を直視する:常に世界、国内、社会、世間、周囲に気を配り、その進む方向をきちんと見定める
- 2.情報を集め分析する:注意する点⇔人間は「信じたくない情報は信じない」「自分に都合のよいように解釈しがち」になる⇒他の人と情報を共有、確認する
- 3.危機を具体的に書き出してみる:「問題を文書化する」
- 4.すべての財産を点検する
- 5.レベルの決定を優先順位:深刻さによって順位をつける
<今日の「これ愉快」>(こ:根拠、れ:例、ゆ:ユニーク点、か:仮説、い:意見)
- こ(根拠):リスクは勝手になくなるものでなく、放っておくとどんどん大きくなるもの。だから、リスクをマネージメントし、危機管理をすることはこれからの時代には必須の考え方。
- れ(例):山一証券のように問題を先送りにしたため、リスクとしての認識が甘かったために、最悪の結果を招いた例がある。他にも、企業が上手く行かない時、個人のレベルでも上手く行かないときは、リスクに気づいていないか、問題を認識していないかったことが要因となっている例は多い。病気も軽い症状のうちに対処していないと、症状が重くなり取り返しのつかないことにもなりかねない。
- ゆ(ユニーク点):危機管理は、ダメージ・コントロール、リスク・コントロール、トラブル・シューティングの3面から考えてみることが重要。
- か(仮説):リスク管理には情報収集力と分析力、予測力が必須。情報がないと何もつかめない、また、情報があっても正しく分析できないと役に立たないばかりか、誤った答えを導き出す可能性がある。分析したら、どういう手をうつか、予測力がないと結果を出せない。
- い(意見):個人レベルにおいても、リスクをコントロールすることは非常に大事。常日頃から、リスクに対して目を向けることが、リスクを軽減する第一歩。また、問題は問題として認識し、小さいうちに対処する必要がある。放っておくと、モンスターになって顕在化することがある。
<気付き>
情報を知っているかどうかで、例えば株でも、結果がまるっきり違ってくる。アメリカは、「エシュロン」という世界中の通信(HPや、メール含む)を盗聴する巨大システムを構築している。インターネットを飛び交う情報を収集、分析している。一部はその情報をアメリカが有利になるようにアメリカ企業にも提供しているらしい(アメリカ政府は否認、エシュロンの存在も当初認めていなかった)。そういう時代です。いかに情報を握ることが、重要なことか。情報を握れば勝ち組みになれると思います。
<今日の一言>
「自分自身のためにも、ダリトの考え方でリスクをマネジメントしよう。」
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