第115回目「空想プロジェクトマネジメント読本」(司馬紅太郎監修)(その3、最終回)
<ポイント>
- 冬ソナに見る変更管理
- ショッカーで見る組織論
- 科学特捜隊で見る組織の成熟度
<対象となる人>
- プロジェクトマネジャー
- PMPを勉強している人
- プロジェクトメンバー
<Principle(面白いこと3点)>
- 事実を把握し現状認識していないと悲劇が訪れる
- Win-Winの関係を構築する
- 反省から学べる組織にする
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漫画を例に、ストーリーを一つのプロジェクトとしてみて、プロジェクトマネジャーの役割をみていく試みで記載されています。PMBOKに準拠されています。
この本は、PMP取得、ITコーディネーター、中小企業診断士の方たちを集めて記載されています。私はPMPを取得しており、PMI米国、PMI東京支部、JPMF等の会員でもあります。PMを勉強する立場から見ても、PMBOKに関することも記載されており、PM関連の面白い例として読むことができると思います。
いろいろな視点からプロジェクトを見るクセをつけておくと楽しく勉強できることを、この本が証明してくれています。。
<抜粋>(かっこ内は私の意見)
(青(客観重要、まあ大事)、赤(客観最重要、すごく大事)、緑(主観大切、おもしろい))
7.冬のソナタ(冬ソナ)と変更管理
- 統合変更管理:変更の実施にあたって、影響のあるあらゆる要素に働きかけ、すべての変更を統合的にコントロールする。変更はきちんと決断し、必要な変更はすべて実施し、変更後の対応まで含めてトータルにコミットすることが求められる。
- ジュンサン:自分の進む道とユジンの関係における変更管理を中途半端にしたまま行動してしまった(→交通事故を引き起こした要因=悲劇の始まり)
- チェリンの問題点:プライドが邪魔をして現状を把握しようとしなかったこと→自分自身への実績報告をないがしろにしていた⇔現状認識ができていない(していない)から適切な変更管理を実施できない
- 事実を歪めた虚偽の報告は、さまざまな矛盾をはらんでいる以上、露呈はさけられなくなる。そして露呈したときに影響は取り返しがつかなくなっている。←ミヒはジョンサンの過去の記憶を勝手に書き換えてしまった。それが悲劇を大きくした。
- 変更は承認をもって正式に扱われる。変更がオフィシャルとして扱われないと、その後のプロジェクト計画は不確実なものとなってしまう。 ← 変更が正式に承認されなかったために、ユジンの気持ちは不安定で、ジュンサンによく似た人物(ミニョン=ジョンサン)を見かけただけで激しく動揺してしまう。
- 事実をつかまないで行動することは、常にリスクを抱えたまま行動することと同じ ⇔ 変更管理は、常に事実をもとに変更の要否を判断して実施しなければならない
- 人間は常に目標を持って行動し、その目標に対して変更を余儀なくされなら、統合変更管理の視点であらゆる変更を積極的にコントロールしていくべき
8.ショッカー(仮面ライダーの敵)と組織論、対立関係
(1)組織論
- ショッカー:世界的組織→グローバルな大企業に匹敵する組織
- 組織への帰属意識を醸成する4要素
- 目的の共有:組織目的と個人目的が一致して共有されている
- コミュニケーション:発信されたメッセージが受け手に伝わっている
- 個人の満足度:組織内での個人の欲求が充足されている
- 組織の威信:個人は組織の威信を評価する
- 組織を離れる決意をし、組織から離脱する
- 組織に留まるが、組織外に個人的な満足を求める
- 組織に留まり作業を継続するが、作業能率が低下する
(2)仮面ライダーとの関係
- プロジェクト成功に前に立ちふさがる障害を取り除こうという作戦はリスクマネジメント的には正しい
- 対立の解消方法:対立、妥協、鎮静、回避、強制
- ショッカーの仮面ライダーに対する謀殺行為は、強制による解決を意味している⇔プロジェクトマネジメントの見地からは「鎮静」と「対決」が良い
- ショッカーは仮面ライダーとの関係をWin−Winに持ち込むような対決の手法をとるべきであった
9.サイボーグ009と品質管理
- ゼロゼロナンバーはブラックゴースト団から離反→開発した製品が仕様通りに動かない=規格外であった→兵器開発を目的とするブラックゴースト団にとっては品質管理上の重大問題
- ゼロゼロナンバー以降の戦闘員サイボーグの離反は防いだ⇒品質マネジメントを実施して不良品の続発を防いだ
10.ウルトラシリーズの防衛組織と組織の成熟度
- 科学特捜隊(防衛組織):唯一絶対の存在理由である「怪獣退治」というミッションを完遂できていない⇔防衛組織の作戦がプロジェクトとして正しくマネジメントされていない、また、作戦の破綻を毎回救ってくれるウルトラ兄弟がいる
- 作戦:「戦略→戦術→作戦」というように、段階的にブレイクダウンされた計画ないし、行動を示す
- 戦略:戦術より広範な作戦計画。各種の戦闘と統合し、戦争を全局的に運用する方法
- 戦術:戦闘実行上の方策。一個の戦闘における戦闘力の使用法。
- 作戦:戦いを進めていく上でのはかりごと、戦略単位以上の兵団のある期間にわたる対敵行動の総称
<今日の「これ愉快」>(こ:根拠、れ:例、ゆ:ユニーク点、か:仮説、い:意見)
- こ(根拠):現状を正しく認識していないと、何が問題となっているかが把握できないのであるから、対策自体も考慮することができない。
- れ(例):トヨタのカイゼンでは、「なぜ」を5回繰り返すと言う。そうすることで、問題の本質を認識することができるからである。まず、何が問題になっているかを正しく把握しないと、正しい対策が打てない。
(このあたりは、4/29「仕事のできる人の考える技術&書く技術」の「1.論理的思考法(大前研一氏)」も参考になります)
- ゆ(ユニーク点):事実を把握しないでいることは、リスクを抱えたままでいることと同じ。
- か(仮説):リスクマネジメントを実施するには、現状認識を正確に把握すること。そのためには、自分で意見(情報)を吸い上げる努力と、現状を正しく認識できる力、物事の本質・問題の本質を見抜く力が必要となる。
- い(意見):プロジェクトでも人間ドラマでも、勘違いを放っておくと良い結果をもたらさないことが多い(冬ソナのように悲劇に繋がる?)。思い込みではなく、冷静に現状を認識して、正しい対策を打てるようにしたい。まずは、「なぜ」を繰り返し、仮説と検証を繰り返して、問題の本質を掴むクセをつけたい(安易に考えてしまうこともあるから)。
<気付き>
プロジェクトには生き物であり、数々の問題が表れてくる(表面にでないものもある)。ある意味人生と同じ。問題を解決していくには、何が問題か、その本質をすることが第一。問題が分かれば、あとは解決することに全力を注いで行けばいい。
<今日の一言>
「正しい解決策は、問題の本質の正確な認識から生まれる」
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