第85回目「プロジェクト成功への挑戦<3つの力>〜その4(最終回)〜」(井原弘著)
<ポイント>
- 組織として対応すべき事項とは何か。
- プロジェクトを成功に導く経営力とは何か。
<対象となる人>
- プロジェクトマネジャ
- PMO
- プロジェクトリーダー
- 経営者
<Principle>
- プロジェクトの成功には、「会社のフレーム」「仕事のフレーム」を意識した経営改革が必要
- プロジェクトの進捗は、組織としてサポートする仕組みが必要
- 人材の確保、プロジェクトの採用は、組織の戦略に基づいて実施する
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プロジェクトの成否が経営に与える影響は、大きい。それは、ユーザ側(発注側)、開発側(受注側)にとっても同じである。企業の戦略にも一致してこないといけない。
<抜粋>(かっこ内は私の意見)
(青(客観重要、まあ大事)、赤(客観最重要、すごく大事)、緑(主観大切、おもしろい))
プロジェクトの成功を決定づけるリーダー力
- プロジェクト・マネジャーの役割:プロジェクトの遂行の責任者で、その目的達成のために、あらゆる知識・経験・交渉力・リーダーシップなどの能力を駆使し、使用可能な資源を使用して成功させること
- 最終的にそのプロジェクトの責任者・権限者は唯一プロジェクト・マネジャーであることだけは明確にしておく
- 4つのE(GEのジャック・ウエルチが後継者の資質として唱えたこと)
- 1)Enormous Enegy:自身が強烈にエネルギッシュであること
- 2)Energize:周りの人々をエネルギッシュにすること
- 3)Edge:際(きわ)を明確にできる、Yes/Noをはっきりできること
- 4)Execute:実行できること
- 1)人とうまくやる能力
- 2)目的志向の考え方
- 3)卓越したコミュニケータ
- 4)冷静な判断力と果敢にNoと言える勇気
- 5)あくなき向上心
- 6)明朗な性格
- 7)論理性・論理思考ができる上に、場合によっては清濁併せ呑む大きさ
4.プロジェクト成功を支える経営力
(1)経営強化プログラム
- 経営改革:「会社のフレーム」「仕事のフレーム」を意識した経営改革を、「経営力強化プログラム」と呼ぶ
- トップダウン・アプローチ:経営レベルの課題を議論するには「トップダウン」アプローチでなければならない
- 求心力:「経営力強化プログラム」として必須となるもの=その中核となる経営戦略の内容を文書化した「戦略設計図」を描くこと
- 現実性:「VisibleでないものはManageableでない」「観測できないものは制御できない」「見えないものには手の打ちようがない」
(2)経営戦略明示
- 経営戦略:①その企業の理念・ビジョンと合わせて、明快に示される、②企業として経営理念を中心に位置づけ、時代背景、経営の環境、現実認識をベースにして、目指す方向を明示し、その実現方法の骨子を明らかにする
- 事業戦略:経営戦略に従ってその戦略を明確にする
- マーケティング戦略:経営戦略、事業戦略の展開を具体化するために必要な戦略を明らかにする
- 顧客戦略:営業活動(セールス)のエネルギーをその顧客にどの程度投入するかということに直結する
- 技術戦略:ビジネス・モデル化の動向には目を離させない
- アライアンス戦略:アライアンスは、単に規模の増大を目指すことより、むしろ質的な側面で強み、弱みを組み合わせることが基本
- 人材戦略:長期戦略に基づいて人材をどのように確保するかを明確にすることが重要
(3)ビジネス管理整備
- 戦略経営管理プロセス:決定した予算数値をブレークダウンして、各事業担当の各レベルの責任者、メンバーの目標管理(MBO)の重要な目標数値として必ず組み込むこと
- 事業管理システム:実績把握を迅速に行うには、ITを駆使した一貫性のある事業管理システムをもつことが必要
- プロジェクト管理システム:プロジェクト単位の管理を統合的にできるシステムがあることが望ましい
- 契約管理システム:①重要なことは、まず、標準契約書を持つことである、②非標準契約はビジネス・リスクとなることが多いので、ビジネス判断が必要である
(4)プロジェクト推進システム
- 品質システム:品質システムを構築するには、品質プロセスを形式化して明示し、監査体制を含めた品質組織を整備することも必要
(5)人材確保
- 人事制度:①経営理念・ビジョン、経営戦略を前提として、人事制度を策定する。②成果主義は、目標管理(MBO:Management By Objectives)をベースにする。
- 人材育成:キャリア・パスを社員全員に明確にする
(6)協力会社管理
- ヤマタニの調整には外注要員を利用することが有効
- 協力会社管理:協力会社を登録制にし、登録業者には契約の簡素化、年間単位の協定価格の締結、優先発注、優先受注、協力会社への技術教育の割安提供、情報交換会開催などの便利を図かる。
(7)技術環境整備
- ナレッジ・マネジメント:ナレッジ・マネジメント(KM)は今後、企業が生き残っていくための重要課題として取り組むべき課題
(8)改革推進
- 経営トップを含むコア・チーム編成:①改革推進コア・チームを編成するが、その責任者は経営トップが就くべきである。②まず、「経営力強化プログラム」として改革の全体シナリオを書き、「戦略設計図」をまとめることから始める。
- エバンジェリスト・グループを編成:若手社員を中心にエバンジェリスト・グループ(Evangelist Group)を選抜・編成し、「経営力強化プログラム」全体の社内浸透活動の尖兵として活動させる。
- 情報をオープンに:特別な機密情報以外のあらゆる情報は、形式化(文書化、図表化、ビデオ化など)し、社内的にオープンな扱いとするべき。
<今日の「これ愉快」>(こ:根拠、れ:例、ゆ:ユニーク点、か:仮説、い:意見)
- こ(根拠):プロジェクトの成否が経営に与える影響は大きい。一つのプロジェクトの失敗が経営を圧迫することもある。そのため、経営サイドとして、しっかりとサポートできる体制、仕組みが必要。
- れ(例):プロジェクトチーム任せにすると、事実がキャッチできない。そのため、リスクや問題に対して後手後手に回り、コストの大幅増と信頼の低下を招いてしまう。
- ゆ(ユニーク点):これからは、益々CMMの様に組織としての対応度、成熟度が求められる。そのために 、「会社のフレーム」「仕事のフレーム」を意識した経営改革である「経営力強化プログラム」を推奨している。
- か(仮説):経営力強化プログラムにより、プロジェクトリスクが正しく把握でき、予防することができれば、組織全体としての問題解決力が形成される。
- い(意見):組織としての対応力、ここでいう経営力強化プログラムは、外資系企業が一歩も二歩もリードしているように思われる。危機対応能力が政府レベルでもみても、欧米の方が進んでいるように思われる。企業間競争を勝ち抜くには、個々の力に頼るのではなく、組織力をいかに強化し全体に浸透させるかが決定的なファクターになってくる。
<気付き>
今後、CMMIの普及に伴い組織の成熟度に対する要求は益々大きくなってくる。そのためには、トップダウンでの整備が必要。また、PMも積極的に経営サイドに状況を報告していくことが大切。
<今日の一言>
「経営力強化プログラムを採用して組織力をアップさせよう。PMは組織を巻き込んだ対応を心がけよう。」
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