第21回目「SEのためのプロジェクト管理心得ノート」(竹野内勝次、渡部英男、久井信也著)
SE(特にプロジェクトマネジャ(以下PM))が注意しておく点を、状況例を示しながら解説されています。
また、著者自身の見解をベテランSEの目という視点からも記載されており、プロジェクト(以下PJ)を進める上で大いに参考になります。
この本に興味を持てば→
幹は3つ。
1.PJ体制
- プロジェクトリーダ(以下PL):共通化のプロセスを欠かさない(繰り返し指導)、自ら示す、自ら調べる(積極的に情報収集)、稼動状況を把握する(資源、コスト)、政治力を持つ、リスクを把握する
- プロジェクトに必要なノウハウ:必ず補充←PJに穴を空けてしまうことになる
- 間違いや勘違い:必ずある→考えられうる失敗のイメージを洗い出しておく⇒事前予防対策、事後予防対策
- プロジェクトメンバ:自ら問題解決行動、全体的視点を持つ
- 本当の問題:問題が問題ではなく、問題を解決しないことこそ問題
- ベンダ:選定のための要求事項・基準を整備、リーダ選定は必ず面接(リーダで決まる)
- お客様:十分打ち合わせできる体制、ヒアリングに応じてくれる人・意思決定できる人を明確に確保、
- PMの心得:①責任をとる、②他人のせいにしない、③決断する、④人・物・金・情報を握っている、⑤自信を持つ、⑥動じない、⑦相手の立場がわかる、⑧余裕がある、⑨現場を見る、⑩弱音を吐かない、⑪孤独、⑫遣り甲斐のある仕事
- プロジェクトの成否の鍵:プロジェクトマネジャの振る舞いにある
2.仕様調整
- 基本ポイント
- 「幹」の部分のイメージを確立する
- 仕様を集約化する
- 業務面とシステム面から幹と枝葉を把握する→業務を流していく最低ラインをクリアする
- 仕様検討時:仕様漏れがないかを入念にチェック
- 仕様漏れの把握:現状業務を漏れなく荒い出す
- 仕様=費用:お客様を含め関係者に、仕様=費用の認識を定着させる→日頃から費用に関する認識を高めておく
- PJ開始時、開始後も仕様によって開発費が変わることを理解頂く
- フェーズ毎のポイント
- 本来聞くべきことえを聞かないまま仕様確定→非常に危険→納得できるまでヒアリングする
- 各種リスク:お客様に十分説明
- PJの円滑な運営を担保:お客様トップの意向を常に把握、お客様トップへ状況を報告
- 仕様実現の可能性:お客様に指摘しておく(明確にしておかないとお客様は期待する)
- 情報の共有化の徹底:メンバが勝手に他チームに関係ない情報だろうと判断する危険性がある→チーム間の連携
- 仕様確定:スケジュールの根拠、開発を進める上で極めて重要
- 仕様確定後の仕様変更:お客様にも大きなリスク、先手先手で説明
- 仕様確定後に変更:大事なのは要求をはねつけることではなく、お客様と認識を共有すること
- 仕様変更:関連しそうなところにはすべて声を掛けておく
- 初期運用時の仕様変更:追加開発でバグを発生する危険性がある→安易に受け付けない
- 仕様調整以外の重要ポイント
- SEの稼動状況:スケジュールに大きな影響を与える
- ノウハウ不足:数では補えない→ノウハウのある人意外に穴埋めできない
- 運用直後のトラブルの予測:試験中に発見されたバグや運用ミスを分析しておく
3.人的要素
- キーマンの把握
- 問題:ドキュメントから漏れている部分に潜んでいる
- 会議:選択肢を選べない場合は、早めに決断する方が生産的
- 成功体験:意識的にメンバひとりひとりに成功体験を得られる工夫をする
- 失敗する可能性があるという認識:トラブル発生時の対応だけでなく、普段の行動をも飼えてしまう
- メンバの責任を問うことではない→同じような失敗を今後発生させないこと
- 能力の限界:やれと言われても、能力的にできないものはできない→能力を補完する
- プロジェクトリーダ:信頼でき、間違いなどを指摘するナンバー2が必要
- コミュニケーションスキルの構造:①リーダシップ、②ディスカッション、③ネゴシエーション、④ドキュメンテーション、⑤プレゼンテーション
お客様を巻き込んだ協力体制がPJ成功の一つの要因。
特に仕様変更については、受けることはある意味簡単かも知れないが、そこには、費用が発生すること、納期にも影響すること、そして、品質やメンバの士気にも影響することを忘れてはならない。
このため、影響範囲については、繰り返しお客様に確認して頂くことが重要。
また、仕様変更は、開発側の仕様認識不足からくるケースも多い。
仕様は、お客様を含め共有化し、納得できるまでヒアリングしておく。
この本においても、PMとして特に大切なのは、コミュニケーション能力、事前準備(前始末)であると解説されている。