第20回目「ディベート式交渉力」(北岡敏明&ディベート大学著)
ディベートとはどういうものか、どういう効果があるのかについて記載されています。
例題もあり、論理思考の一助になります。
この本に興味を持てば→ディベート式交渉力
ディベート大学については→http://www.japandebate.com/
幹は5つ。
1.交渉力
- 石原慎太郎の交渉力の源泉:言語力、勇気と気概、ディベート力
- 言語力×思考力×ディベート力=交渉力
- 交渉の本質:人間関係、目的や目標、いつも双方が納得するとは限らない
- 交渉:コミュニケーション、言語力、思考力、ディベート
- 日本の交渉力の弱さの原因:政治力(軍事力と経済力で決まる)と軍事力(交渉力の根幹にある)が欠落
- 戦略的発想:たえずマクロ的、対極的にものごとを見る発想
- 戦術的発想:徹底して細部にこだわるやり方
- 交渉:当事者の気概、勇気、度胸が大きな要素をしめる
- 坂本竜馬の交渉力:人間的魅力、ねばり強さ、度胸と勇気
- 交渉の法則(国際交渉):①交渉は力(力の背景が必要)、②経済力は第二議的、③武力行使を背景とした交渉力は強い、④窮鼠猫をかむという覚悟の交渉力は強い
2.ディベート力
- 交渉力=ディベート力、どちらも知的戦い
- ディベートの五つのプロセス:論題、資料・データの収集分析、論理の構築、討論会、判定
- ディベートの根本目的:①論理的思考能力、②論理的表現能力
- 論理的とは:①すじみちが立っている、②首尾一貫、③道理にかんなっている、④順序立っている、⑤理屈が通っている、⑥理詰めである、⑦科学的である、⑧数学的である、⑨コンピュータ的である
- 交渉に必要なもの:①論理的思考力や論理的判断力、②論理的は表現力
- ディベート:知識を創造するため、獲得するための方法論
- ディベートの効果:論理能力の育成、意思決定力の育成、問題解決能力の育成、現状変革能力の育成、危機管理能力の育成、リーダーシップの育成、議論・討論・論争などの能力の育成
- 一流のディベータ:自分の使うコトバをしっかり定義する(コトバにあいまいな姿勢をとらない)
- コトバの定義の原則:一義的、わかりやすい表現、意味が循環しない、否定的な言葉を使わない、定義が広すぎない
3.詭弁を見つける
- 詭弁・まやかしの論理を見つける11の原理:①前提の原理、②揚げ足取りの原理、③論点のすり替えの原理、④論理の把握の原理、⑤論理破綻の原理、⑥例外の原理、⑦イデオロギーの原理、⑧宗教の原理、⑨感情の原理、⑩絶対化の原理、⑪空気の原理
- 前提の原理:全ての論理や議論には前提がある、優秀なディベータは前提を見破る能力がある
- 前提があやまり→結論があやまり
- 言葉の揚げ足を取る人→前提という考えがない、何らの建設にも貢献しない
- 例外の原理:論理に例外を儲けるとその論理は破綻する、論理的=普遍的
- イデオロギーや主義にとらわれると、視野が狭窄になる
- 宗教:論理でなく信仰である
- 感情をもちだされると、論理的な議論はできなくなる
- ものごとを絶対化、絶対視すること:論理思考の大敵→ものごとを相対化してみると将来がよく見える
- ディベートの考え方:正もあれば悪もある→絶対善とか絶対悪とかの見方や考え方をとらない
- 論理的思考:前提→推論→結論のプロセス
- 正しい論証:前提が正しく、推論も正しいと、結論は正しい
- 正しくない論証:前提が間違っていると、推論が正しくても、結論はあやまり
- 質問の三つのやり方:①イエス・ノー質問、②選択質問、③WH質問(6W1H)
- 質問内容による分類:①価値判断を要求される質問、②事実判断をともなう質問、③意見判断をともなう質問
- 価値判断をともなう質問:自分の意見を客観的な理由と証拠資料で証明することが困難→水掛け論にある可能性がある(←論争を打ち切る)
- 事実判断をともなう質問:証拠や資料やデータをもって証明する
- 意見判断をともなう質問:理由をきちんと提示する
- あいまいな言葉の追求:新しい言葉やあいまいな言葉があれば、その意味、概念を質問する
4.日本語の技術
- 論理的に話す:①話し方の構造を科学的に分析する、②ディベート訓練
- 逆三角形の話し方:はじめに結論を述べる形←分かりやすい=論理的
- 質問の技術:①論点と一つ一つ明確にする、②論点の問題点や疑問点を明らかにする、③論点を検証する、④相手の論理の矛盾を明らかにする
- 話の飛躍:論理的でない人の話しは飛躍する、論理的な人の話しは飛躍しない
- 論理的思考:目的と手段の峻別やものごとの優先順位などと判断する思考
- ホンネとタテマエ:肯定と否定をの両方を使い分けては議論はできない
- ストーリーは論理
- 明瞭明晰な表現の基本:短文できちんと切ること
- あいまいな言葉:あいまいな言葉と思考のあいまいさは密接不可分、あいまいな言葉のコミュニケーションは生産性が悪い、議論や討論が発展しない
- 無駄な表現:「エー」、「あのー」「「いろいろ」、「そういった」、「こういった」
5.話し言葉の技術
- プレゼンテーション:図表を使う
- ヒアリングを強化:日本=読み・書き・話す、英語=リーディング、ライティング、スピーキング、ヒアリング
- 良い話しを聞くこと:言語能力を上達させるために欠かせない方法
- 日本語の上達:音読訓練、ひたすら朗読してコトバの文体文型を体にたたき込む
気付き
どんな仕事でも交渉はつきもの。交渉する上で論理的思考は絶対に必要な要素。
この論理的思考を伸ばす一方法として交渉力=ディベートがある。
論理的に考えるとはどういうことか。それは、筋道が通っており、首尾一貫しており、科学的分析がなされていること。
交渉にあたっては、詭弁や論理をすり替える相手も多い。
こういう相手に対しては、前提を見破ったり、論点を明確にしたりすることなどが重要。
プロジェクトマネじゃは、仕事の90%はコミュニケーションと言われます。従って、論理的思考を身につけることは必須の技術。ディベートを使った擬似交渉も有効な交渉訓練になるように思います。