第37回目「熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理」(トム・デマルコ、ティモシー・リスター著)(その2)

「熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理」の第2回目です。
1回目:リスク管理について(第1部、第2部、第4部、第5部)
2回目:リスク管理の方法(第3部)
3回目:考察(PMBOKとの比較から)とおまけ(RISKOLOGYのユーザマニュアルの日本語訳(意訳))

マインドマップには、1冊を纏めています(第1部から第5部まで)。このとき幹は5つで各部毎にしたため、内容的に多い3部が書ききれなくなってしまいました。最初のバランスが結構大事です。
<学ぶこと>

<対象>

  • プロジェクトマネジャー
  • 管理者
  • PMP受験者

<Principle>

  • 決められたプロセスに基づいて管理する
  • 先見的インクリメンタル手法で早めに対応する
  • 管理のステップを踏む
  • 不確定図を作る(ツール:RISKOLOGY)

<抜粋>
3.リスク管理の方法

  • リスクの数量化:不確定性を図で数量化する(リスク図)
  • 組織が大人かどうか:不確定幅を明示した約束をあらゆる階層の管理者が受け入れるかどうかでわかる
  • N(ナノパーセント日):完成する確率が1ナノパーセント程度の地点
  • 不確定性の幅:その組織の開発プロジェクトにどれだけノイズ(変動)があるかで決まる、過去の実績によって決まる
  • きのうの問題は今日のリスク
  • リスクについてできること:「避ける」「抑制する」「軽減する」「かわす」
  • リスク・エクスポージャー:抑制コストの「期待値」
  • リスク・エクスポージャー=コスト×確率
  • リスク準備:リスクを抑制するために用意しておく時間的、資金的な余裕
  • リスク管理の手順
    • リスクの調査をまとめる
    • コアリスクが全て調査に含まれていることを確認する
    • 移行指標(リスクの実現を最も早く実用可能な精度で示す指標)を特定する
    • リスク実現の確率を推定する
    • 時間的、資金的なエクスポージャーを計算する
    • 危機的対応措置を事前に決める
    • 軽減措置を決める
    • リスクがないものとして最初のスケジュール見積りを行う
    • Nから始まるリスク図を作成する
    • リスクを監視する
    • リスク発見プロセスを継続する
  • リスク管理の戦術:わからないことについてわかっている(または知りえる)ことは何かを自問すること
  • 不確定性の範囲を理解する→わからない問題のほとんどについて過去のパターンを検討するのが最善策
  • 不確定性の度合いを知る:見当もつかない〜確信があるのどのあたりか
  • 「リスク図」があらわす状況⇒リスク
  • リスク:考えうる結果と、それによる影響をあらわす加重パターン
  • リスクを評価するためのツール:RISKOLOGY
  • ソフトウェアプロジェクトに共通のコアリスク:「スケジュールの欠陥」「要求の増大」「人員の離脱」「仕様の崩壊」「生産性の低迷」
  • 「やればできる」精神⇔リスク管理とは相容れない
  • リスク特定のプロセス(遡ってリスクを特定):壊滅的な結果(これを避けたい)→シナリオ(破壊的結果をまねきそうな状況)→根本原因(=リスク)
  • ブレーンストーミングのコツ(破壊的結果を招かないため)
    • あくまで悪夢に絞って考える
    • どうしたらそんなことが起こりうるか考える
    • 視点を変える
    • 誰にも責任のない不幸について考える
    • 非難すべき失敗について考える
    • 部分的な失敗について考える
  • リスク:破壊的結果を招きそうなシナリオの根本原因
  • リスク管理
    • 移行指標を継続監視:「本格的問題」に切り替わるリスクはないか
    • リスク発見プロセスを継続
    • リスク・リポジトリにデータ収集
    • 進捗メトリックを追跡
  • 進捗メトリック:プロジェクトの完成度の状態を示す状態メトリックの一種
  • 進捗メトリック:境界要素の決定、現在稼得価値(EVR)
  • 境界要素メトリック:仕様の崩壊のコアリスクを防ぐもの
  • EVR:実質的な進捗状況を表す指標
  • インクリメンタル開発:まず設計をほぼ完全に行い、次にその設計をサブセットに分けてインプリメンテーション開発を行う開発手法
  • 先見的インクリメンタル手法:すべての機能の優先順位をきめる、早い段階で組み込む機能を決める
  • プロジェクトでも損は早めにだしてしまうにかぎる
  • いいものは初期バージョンに入れておく
  • 完成が遅れるプロジェクト→始めるのが遅すぎたプロジェクトが多い



気付き
リスクを管理する前に、リスクを洗い出し分析することが前提。
洗い出したリスクは、数量化・可視化し、情報をステークホルダーとシェアする。
リスクに対しては、「避ける」「抑制する」「軽減する」「かわす」の4つのどれかを使っての対象を考えてみる。その際、リスクの発生確率とももに、エクスポージャー結果をベースにして対応策を選択する。
リスクは早め早めに対応していくことが重要。時間とともにリスクは成長する。
わかっているリスクに注意することは当然であるが、わからないリスクについても過去の経験等から予測しておくことが、後で後悔しないためのは必要。
チャレンジ、やればできる精神は大切である(リスクのあるプロジェクトに取り組む等)が、リスク管理については、確率や根拠、事実、発生した場合の責任、状況をしっかりと把握し継続的に慎重に対応しなければならない。